インタビュー

専業から多業の時代へ。リスクを冒さず新しいものを生み出す力【インタビュー】

おはよーございます。

初対面で人の懐に入り込むことを得意とするまなてぃ(@mnty_ocean)です。

先日、ひとり旅で香川県の直島へ行ってきました。

その際に宿泊先として利用した『島小屋』は、古民家の中で借りたテントを自分で張って泊まるといった、一風変わったお宿。

11月の直島は閑散期に差し掛かっていて、その日の宿泊者は私1人の貸し切り状態でした。

そんな状況もあり、オーナーの山岸正明さんから施設の説明を受けつつまったりお話ししていると、島小屋以外にも移住促進やセミナー講師など、様々な活動をしているということが判明。

独自の視点で次から次へと新しい取り組みを始める山岸さん曰く、これからの時代を豊かに生きるには従来のような専業ではなく、自身が様々な分野をこなす”多業”が軸になるとのこと。

自身の活動をとても楽しそうに話してくれる山岸さんに強い魅力を感じた私は、その場で取材をお願いすることに。

  • どんな活動をしているの?そのための資金は?
  • 多業をする意味やメリットは?
  • 何を目的に次々と新しい活動を始めているの?

などなど、ひとまずその日の寝床となるテントを組み立ててから、詳しいお話しを聞かせていただきました。

あるものを活かすことで大きな投資はしない。山岸さんの活動

今宵の私の寝床である水色テントをバックにパシャリ。

島小屋の始まりは、勢いで買った空き家

まなてぃ
まなてぃ
まず最初に、山岸さんの活動について教えてください。 
山岸さん
山岸さん
島小屋ではテントステイ(宿)とブックカフェの運営をしています。

他には、今年の3月まで地域おこし協力隊をやっていたり、移住者支援を兼ねて不動産屋をやっていたり、いちじくを直島の特産品にしようと『NAOSHIMA FIG PROJECT』の代表などもやっています。それから、デザインの仕事や、たまにセミナーの講師…あ、『I♥湯』(直島にある銭湯)の番頭もやっていますよ。 

まなてぃ
まなてぃ

本当に盛りだくさんですね!

一番最初に始めた取り組みは何ですか?

山岸さん
山岸さん

島小屋です。

移住するための家を探している時にここを紹介されて。築120年で空き家だったのが20年間。

さすがにここは住めないなーと思ったんですけど、この梁の感じや瓦の感じが良いなぁって…。

なんかポテンシャルを秘めていると感じたんです。で、その場でこれくださいって。

まなてぃ
まなてぃ
住むつもりはなかったんですよね?

しかも元々は島小屋を作ろうと思ってここを買ったわけではないと…?

山岸さん
山岸さん

何も決めてなかったです。

単純にこの建物いいなーと思って、あ、買っちゃった。みたいな(笑)

まなてぃ
まなてぃ

完全にその場の勢いじゃないですか…

とりあえず買って、移住してから何をするか考えたということですか?

山岸さん
山岸さん

その後すぐに移住したわけではないんです。

東京の仕事を辞めて手ぶらで移住するのは、リスクがあまりに大きいから。

まなてぃ
まなてぃ
では、どのような経緯で今のカタチに?
山岸さん
山岸さん

今の島小屋の元になったのは、僕のバックパッカー時代の経験ですね。

雨がひどい日に雨宿りできる場所を探して、屋根がある砂場にテントを張ったら、めちゃくちゃ快適だったんです。

それからはキャンプに行っても屋根がある場所を探すようになって。軒先やお寺の境内にお願いしてテントを張ってました。

まなてぃ
まなてぃ
すごく合理的な簡易宿ですね。
山岸さん
山岸さん

直島へ来た時にもテントを持ってたんですけどキャンプ場がなくて、ここの庭先にテントを張らせてもらったんです。

そしたら夜は静かだし星は綺麗だし、直島には賑やかな日中以外にもこんな一面があったのか、と。

その時に頭の中でアイディアが広がって、ここにテント並べたら人が来るんじゃないかと思ったんです。

まなてぃ
まなてぃ
普通の宿にしようとは思わなかったんですか?
山岸さん
山岸さん

宿にした場合、内装の見積もりが2000万円って言われたんですよ。

まなてぃ
まなてぃ
そんなにかかるんですか!?
山岸さん
山岸さん

そんなお金とても用意できないでしょ(笑)

だからAmazonでテントをいくつも買って並べて「はい、キャンプ場ですよ」って。

その時は半屋外みたいな何もない空間で、暑ければ暑い、寒ければ寒いままだったんですけど、とりあえず実験でやってみたんですよ。

そもそも建物には価値がない(僕はあると思ってますけど)ので、土地代でしか購入していません。

だからその当時は「最悪、失敗したら土地代で返せばいい」ぐらいの気持ちでやってましたね。

まなてぃ
まなてぃ

ただの無謀な見切り発車かと思いきや、そこはちゃんと考えてたんですね。

山岸さん
山岸さん

無謀な投資はしません。

その後何度か実験して、これからどうしようかなーと思ってた時に、お客さんに面白いから辞めないでくれって言われたんです。

ニーズがあるなら続けようと、本格的に移住して少しずつリノベーションして、こういう形になっていきました。

以前は建築関係の仕事をしていたという山岸さん。何もなかった空き家を自分でここまで…すごい。

移住者促進に地域おこし協力隊を立ち上げ、今は島唯一の不動産屋

まなてぃ
まなてぃ

他の活動は島小屋がある程度落ち着いてから始めたんですか?

山岸さん
山岸さん
いや、地域おこし協力隊なんかは移住する前から取り掛かっていましたね。
まなてぃ
まなてぃ
移住する前から地域おこし…?
山岸さん
山岸さん

直島には不動産屋も空き家バンクもなくて家探しが大変だったから、いっそ作っちゃえば移住促進になるんじゃないかと思ったんです。

ただ自分1人だと結構な資金が必要になるし、最初は国に助けてもらおうかと。

その時は地域おこし協力隊自体が直島になかったので、町長に直談判して作ってもらいました。

まなてぃ
まなてぃ
すごい行動力!

じゃぁ最初は山岸さん1人の地域おこし協力隊だったんですね。

あれ?でも地域おこし協力隊って、移住してなくてもできるんですか?

山岸さん
山岸さん
第一号は僕じゃなくて僕の奥さん。

先に入隊していただきました(笑)

まなてぃ
まなてぃ
え?え??(困惑)
山岸さん
山岸さん

移住も地域おこし協力隊も、初めてのことだからどうなるかわからないじゃないですか。

だからフリーランスだった奥さんに先に住んでもらって、片足直島片足東京の生活にしてたんです。

1年間別居して、翌年に僕が2号として入りました。

まなてぃ
まなてぃ
それ島の人に何も言われなかったんですか
山岸さん
山岸さん
「え?あんたが来るんじゃないの?」って言われました。(笑)

そりゃそうだ

まなてぃ
まなてぃ
失礼ですが、奥さんの方には不満はなかったんですか? 
山岸さん
山岸さん

奥さんもそういうのが好きな人で、結婚する前にもゆくゆくは地方に移住するよねって話をしてたから。

まなてぃ
まなてぃ
なるほど…!

2人で立ち上げた地域おこし協力隊での移住者促進に始まり、今は不動産屋をやっていると。

山岸さん
山岸さん

はい、今のところ島唯一の不動産屋です。

この間取材を受けて…というのも、25年ぶりに直島の地価が0.9%上がったんですよ。

まなてぃ
まなてぃ

25年ぶり!それはすごいですね!

(どのくらいすごいのかは正直よくわからないけど…)

資金はゼロ。すでにあるものを活かした新しい取り組み『NAOSHIMA FIG PROJECT』

まなてぃ
まなてぃ
あとは…いちじくの特産品化を目指す活動でしたっけ?
山岸さん
山岸さん

はい。『NAOSHIMA FIG PROJECT』っていいます。

直島ってそこら中にいちじくが生ってるんですよ。でも流通はしてない。

休耕地が山ほどある。でも使われていない。

だからそれをミックスして、いちじくを直島の特産品にしようと思いついたんです。

まなてぃ
まなてぃ
そんなにたくさん生えてるなら、どうして今まで特産品にならなかったんでしょう?
山岸さん
山岸さん

あるのが当たり前だったから、誰もそんなこと思いつかなかったんでしょうね。

いちじくと休耕地って両方すでにあるものなんだけど、掛け合わせるだけで今までにはなかったものになるじゃないですか。

そういう発想ができるのは、移住者ならではの頭なんだと思います。

まなてぃ
まなてぃ

移住者の頭…なんかかっこいいですね!

どれくらいの規模で動いているんですか?

山岸さん
山岸さん

今年の5月に島民に向けてプレゼンして、今は14人くらい集まってくれています。

基本お金はかけずに、今ある物を活かして育てていくプロジェクトです。

『FIG PROJECT』Tシャツ。デザインはもちろん山岸さん。

まなてぃ
まなてぃ

この取り組みも波に乗ったら会社化するんですか?

山岸さん
山岸さん

しますよ。

これも結局テントステイと一緒です。まずは実験。

あるものを使ってお金をかけずにいったんやってみて、盛り上がっていったらそのお金で本格化してもっと盛り上げればいい。

まなてぃ
まなてぃ
それで上手くいけばリスクはほとんどないですね!
山岸さん
山岸さん

そうです。

そうやってリスクヘッジしながら身の丈でやっていけば、大きな失敗をすることはないんですよ。

これからは”専業”ではなく”多業”が軸になる

まなてぃ
まなてぃ

山岸さんの活動に資金やリスクがかかっていないということは理解できました。

そもそもなぜそんなにいろいろやろうと思ったんですか?

山岸さん
山岸さん

理由はいろいろありますね。

僕は複数の仕事をすることを”多業”って呼んでるんですけど。

都会で会社員をやろうと思ったら、基本的には”専業”ですよね?

まなてぃ
まなてぃ
みんな自分の役割をこなしてますね。
山岸さん
山岸さん

それは人が多いから細かくコンテンツ分けができるわけで。

でもここは田舎で人が少ないし、1人何役もやらないと回らない。

そんな世界に、ある日突然今まで専業でやってきた人間が飛び込んだら、使い物にならないんです。

まなてぃ
まなてぃ
田舎に移住したから多業に至ったってことですか?
山岸さん
山岸さん

それもありますけど、これからの時代は都会も田舎も関係なくなるはずです。

以前は一回就職したら退職まで働いてっていう、専業に合った世の中だった。

それが今はだんだんリスクの大きい世の中になってきてるんです。

リーマンショックが起きて会社クビになるかもしれないし。

まなてぃ
まなてぃ
たしかに、今は昔ほど「就職したら一生安泰だ」って言えなくなってきてますもんね。
山岸さん
山岸さん

その上仕事にもいろんな選択肢が増えてきているから、何がブレイクするかわからないでしょ。

だからとりあえずなんでもやって種を撒いておけば、何かが成長してきた時にそっちにいける。

要は時代に合わせた生き方ってことです。

多業の実現には経験が必要不可欠

まなてぃ
まなてぃ
多業の必要性はわかりました。

ただ、世の中山岸さんみたいに次から次へとなんでもできるほど器用な人が多いわけじゃないと思うんですが…

山岸さん
山岸さん

そのために必要になってくるのは”経験”ですね。

僕、学生の頃からバイトを50個くらいやったんですよ。

まなてぃ
まなてぃ
50!?なんでまた…
山岸さん
山岸さん

建築系の仕事って、何かを作るとなったらその建物について知らなきゃいけないじゃないですか。

カフェならカフェの構造や仕組みを理解してないと効率の良いお店が設計できないし。

やれ図書館だ美術館だってなると、結局その度に調べるわけですよ。

じゃぁ今のうちにいろいろやって知っておこうと思って。

まなてぃ
まなてぃ
理にかなってるのかどうかもわからないくらい発想がぶっとんでる気がします
山岸さん
山岸さん

まぁまぁ(笑)

でも実際カフェで働いて店の仕組みを見るだけでも違うじゃないですか。

だから今店をやろうと思っても、料理もメニューもパパっとできちゃうわけですよ。

建築やってたから店自体も作れるし。

今までの経験がフルに活きて、今に至ってます。

宿と併設しているBOOK CAFE

まなてぃ
まなてぃ
とにかく多様な分野をまんべんなくっていう感じなんですね。
山岸さん
山岸さん

もちろんそのままいくと一流にはなれないけど、自分の店を持つくらいのことならできる。

とにかく好きなことや興味のあることはなんでもやっておいて、ずば抜けて成長したものがあれば、その時そっちに集中しちゃえばいいんですよ。

多業で”良いスパイラル”を作って人生を楽しむ

まなてぃ
まなてぃ
お話を聞いていると、勢いで始めたものも含めてぜんぶ綺麗に今に繋がっていますよね。

行動の基盤として、これだけは絶対!っていう信念みたいなものはありますか?

山岸さん
山岸さん

楽しい人生であること。(即答)

今が楽しくて、将来も楽しくないといけなくて、過去を思い出しても「あぁ、あの時も楽しかったな」って思えるように動いてます。

まなてぃ
まなてぃ
今も将来も…自分が楽しめることを考えているからこそ、しっかりリスクヘッジをして動くわけですね!
山岸さん
山岸さん

その通り。

常に楽しい状態を作っておかないと良いスパイラルが生まれないんです。

まなてぃ
まなてぃ
良いスパイラル、ですか…?
山岸さん
山岸さん

仕事って、何をやっても基本的には辛くて大変なものなんですよ。

でもだからって「辛いなぁ、このままずっと生きていくのかなぁ」って思いながら生きてると、周りも見てて良い気しないし、仕事も人も離れていってしまいます。

どうせ辛いなら、辛い中にも達成感があるとか、辛くてもやりがいはあるとか、できる限り楽しい辛さでないと。

とにかく楽しんでいたら人が集まってきて、そこから仕事も生まれて、そういうスパイラルで人生が豊かになっていくんです。

まなてぃ
まなてぃ

そういうことかぁ。

結局は人がいないといくら仕事ができても意味ないですもんね。

山岸さん
山岸さん

人との繋がりが一番大切だと考えると、多業は良いスパイラルも生み出してくれますね。

なんでもやってると、誰かが困った時に「あの人に相談したらなんとかしてくれるかも!」って人が来てくれるんです。

そういう存在になれるというのは大きなメリットだと思います。

もちろん楽しんでるのが大前提ですが。(笑)

人生を楽しむ鍵は、リスクヘッジを怠らない多業で冒険すること

まなてぃ
まなてぃ
「人生を楽しむ」ために、山岸さんが心がけていることってなんでしょうか?
山岸さん
山岸さん

人生を楽しむには、冒険することが大切なんです。

岡本太郎っていう芸術家はわかりますか?

まなてぃ
まなてぃ
「芸術は爆発だ!」の人ですよね
山岸さん
山岸さん

その人が「私は人生の岐路に立った時、いつも困難な方の道を選んできた」という言葉を残してるんです。

たとえば…道が2つあって、こっちはオアシスが見えている、もう片方は何も見えない森の中。どちらの道をいきますか?

まなてぃ
まなてぃ

まぁ、普通ならオアシスですよね

山岸さん
山岸さん

そう。多くの人はオアシスを選ぶ。

でも僕は満を持して森の中を突き進みます。

そんな気はしてました

まなてぃ
まなてぃ
その心は?
山岸さん
山岸さん

何があるか見えてる道ってつまらないでしょ。

周りに流されて会社員になったら、その先の人生ってある程度見えてるじゃないですか。

結婚して子供ができて、コツコツ出世して、退職したら退職金と年金でまったり暮らす。

あくまで今のところはですけど。

まなてぃ
まなてぃ
そう言われると、先が見えているから安心してその道を選んでいる人が多い気はしますね。
山岸さん
山岸さん

別にそれが悪いって言ってるわけじゃないし、その道を選ぶのが普通だと思いますが、僕は冒険したいんですよ。

森の先に何があるのかを見に行きたい。

まなてぃ
まなてぃ
でも山岸さんって、石橋はちゃっかり叩いて渡るタイプですよね?
山岸さん
山岸さん

そうそう!

だから森を進む時にも、何もないなって判断した時にはすぐ戻れる道を確保しています。

腰にロープ巻き付けて行くとかね(笑)

まなてぃ
まなてぃ

腰にロープ…そこが大雑把なのも山岸さんらしいですね(笑)

私も極力リスクをかけずに冒険していきたいと思います。

この度は貴重なお話、ありがとうございました!

 

様々な可能性を見出しながらもリスクヘッジを怠らない山岸さんの生き方は、仕事の選択肢が多様化している現代を生きる上で、非常に参考になるものでした。

”冒険しながら生きる多業家”山岸さんがイチから作り上げた島小屋。ぜひ一度足を運んでみてくださいね!

島小屋 -BOOK CAFE & TENT STAY-

住所:〒761-3110 香川県香川郡直島町882-1

TEL:090-4107-8821

定休日:不定休。HPでご確認ください。

HP:http://shimacoya.com/

 

アートだらけの直島でフォトジェニック自撮り旅してきたーこれぞインスタ映え‼ おはよーございます。 勢いと行動力に定評のある まなてぃ(@mnty_ocean)です。 突然ですが、...